2017年12月4日月曜日

境塾 2017年11月25日(土)

11月にしては暖かな土曜日、境塾の庭に南天の実が赤く実っている。
この南天に静かな花が咲き、その花を詠った「南天の花」という美しい曲があるのを知ったのも、この境塾であった。2016年2月から、それぞれの課題を持って、歌いたい人ができるだけ歌いたいときに歌い、レッスンを受け、また、それぞれが感じたことを伝えあってきた。健先生はこの塾でのにほんの歌の学び合いが、ここを訪れた一人一人の歌世界に花開き、実っていくことを願っている。

歌う人数も曲数もその時によって様々。当初、歌う人は3人の予定であったが、10月は希望者が多く6人の演奏を聴くことができた。さて、この日3人の塾生によって演奏された曲目は以下の4曲。
「カレンダー」より6月   湯山昭作曲
嘆き            山田耕筰作曲
病める薔薇         山田耕筰作曲
君死にたもうことなかれ   朝岡真木子作曲

まず「今日のテーマは、押しと引き」とよく響く、近年むしろ声量の増したテノールの声で、先生はおっしゃった。物事にはすべて、押しと引きがある。音楽にも詩にも押しと引きがあるのだ。この日一貫して、推進力と抑止力、動と静、波の満ち引き、ともいえる、エネルギーの動かし方「押しと引き」が、随所で表現され、伝えられていく。

「6月」では、歌詞に出てくる「粉屋」から「花屋」の変遷の確認があり、声を保って歌い続けているとことについて驚きと賞賛。本当にみずみずしいお声。
「嘆き」についてはリズムと音程についても聴講者から様々なアドバイスがあり、先生からは選曲や声域にあった適切な調性についての示唆。
「病める薔薇」「君死にたもうことなかれ」では、歌い手に声が安定したことが伝えられていた。また、詩人と作曲者の生きた時代のギャップを埋めるのも、歌い手の役目であるとのこと。

次回は12月23日(土)、終了後は食事会も開かれる。「自然に歌うこと」「子音や母音のこと」「美しい日本語のこと」「声のこと」「フレーズのこと」「歌う表情について」・・・演奏の経験を理論にのせ、今、健先生が伝えたいことは限りなくあるに違いない。そして、大切なお話以上に笑ってもらいたいジョークや駄洒落(駄はいらないかもしれない)も・・・。